4極管の概要
● 3極管にスクリーンを追加した真空管が4極管
プレートとグリッドの間にスクリーンを追加したものが4極管です。プレートよりも低い+電圧をスクリーンへ印加することで、プレートへ向かう熱電子を加速させることができます。
オーディオ用途では関係ないレベルですが、真空管は信号の周波数が高くなるほど発振などの不具合が生じます。3極管は構造的にプレートとグリッド間の静電容量(Cpg)が大きいため、この問題が顕著です。無線通信が発達してくると高い周波数を使用するようになったため、プレートグリッドの間にスクリーンを入れてCpgを抑える4極管が開発されました。
●スクリーンの効果①:グリッドとプレートの電気的遮蔽
プレートよりも低い電圧をスクリーンへ印加するため熱電子の大半はプレートへ向かいます。しかし一部の熱電子はスクリーンへ吸収されるため、スクリーンにも電流が流れます。つまりスクリーンもプレートのように動作し、その電流量はグリッド電圧によって変化します。スクリーン電流をコンデンサを使ってカソードにアースすることで、グリッドとプレート間を電気的に遮蔽することができます。
●スクリーンの効果②:高周波特性
カソードとプレート間の大きな電位差の中で熱電子を制御するには、高い(深い)電圧をグリッドへ印加する必要があります。スクリーンを追加することによりカソードとスクリーン間の電位差はカソードとプレート間よりも小さくなり、結果的にその間に挟まれたグリッドは低い(浅い)電圧で熱電子を制御することができるようになります。低いグリッド電圧ほど応答性が良いため、高周波信号が入力された際は有利に働きます。