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アンプのバイアスについて

お知らせ

2010/03/18

アンプのバイアスについて

バイアスとは

 バイアスとは、車におけるアイドリングのようなものです。チューブ動作の為に、アンプでバイアスレンジやクラスを設定するということは、車のエンジンのアイドリングを設定する事と同じです。車のアイドリング設定をする時、車が走行していない状態で行うように、アンプのバイアスを設定する際は、入力信号の無い状態で行ってください。



 過度の電流を流し、アンプを動作しますと、真空管が大変熱くなり真空管やトランスを壊してしまうことに繋がります。逆に、十分な電流を流しませんと、歪み無しで、信号を増倍できなくなってしまいます。不快な歪み音は、どんな曲を聞いても判るものです。

バイアスのオペレーションクラスについて

 真空管を使用したアンプのオペレーションクラスの決定は、真空管が取り扱う信号の量によります。即ち、真空管が取り扱う信号量をバイアスが決定します。真空管アンプの動作には、主にクラスAとクラスAB1という2つのクラスがあります。ここでは、これら2つのクラスに限定して紹介します。


 ●クラスA
 クラスAアンプの場合は、バイアスが特性カーブのリニア部分で設定され、グリッドをドライブしている信号が十分小さいことで、入力信号のフルサイクルを通じリニアな部分に保たれます。
クラスA
 クラスAは、入力信号波形と出力信号波形がほぼ同一です。出力が入力に似ている為に、歪み等はほとんど無い状態となります。入力信号は、真空管の信号をカットオフするようなかたちでグリッドをドライブすることはありません。この事が、信号のサイクル全体を保つ為に、プレート電流を流すことにつながります。クラスAアンプが動作中は真空管が熱くなります。 これは、真空管のプレート電流が入力信号のすべての領域において流れる為、常に電力を消費しているからです。この損失電力は負荷と出力に関係なく消費されます。よって、クラスAアンプは低効率になるわけです。加えて、入力信号の振幅は、バイアス電圧より低く、そのためにグリッド電圧は決してプラス領域になりません。この事が、グリッド電流により生じる歪みの発生を防止します。


 クラスAアンプの特徴
  • 低歪み
  • グリッド電流がほとんど流れない
  • プレート電流がすべての入力信号サイクルで流れる
  • 低効率



 クラスAB1
 ここでは、クラスAB1といわずに、簡単にクラスABということで紹介させて頂きます。クラスABアンプでは、入力信号サイクルの1/2より、わずかに多い領域でプレート電流が流れます。これが、時々真空管の動作を止め、クラスAアンプのように熱くならずに、動作させることが出来るわけです。クラスAアンプの様に、入力信号はバイアス電圧より低い為に、グリッド電流はほとんど流れません。
クラスAB1
 事実、クラスAB1といっている「1」とは、このグリッド電流が流れないことを指しています。クラスABアンプのバイアスは、特性カーブのリニア部分とカットオフ部との間のある点で設定されます。そして、入力信号のマイナス方向の1/2サイクル部分が真空管をカットオフし、出力を停止させます。このサイクルの間は、真空管は動作を停止し、電流が流れていない状態となります。即ち、この間はパワーを浪費しないことで、熱を持たないというわけです。信号の1/2のみが出力となっているのですが、ひどい音質になるかもしれません。これは、プッシュプル位相回路のプッシュの特徴で、クラスABアンプには、常に付きまとう点です。逆に、シフトした部分を動作させるプル部分は、一方の真空管又は、2本の真空管の位相を位相変換回路により180度反転させ行われます。プッシュ部分が停止し、プル部分が動作を開始します。2つの信号は、出力トランスの中でミックスされ、スピーカーに送られる為、連続的なサウンドとして聞くことが出来るわけです。